駆け出し・初心者コーダーが知るべきWeb制作業界のルール5選

Web制作コーダーの仕事は、ただコードを書いて納品すればいいわけではありません。
コーディングのためには様々な外部サービスを利用する機会がありますが、それらの利用規約を全て遵守している必要があります。

X (Twitter)等を見ていると、こういった知識が不足していたがために、クライアントとトラブルになったり、炎上してしまったケースを度々目にします。

そんなことにならないよう、駆け出し・初心者コーダーの方が見落としがちな、「Web制作する上で知らないでは済まされないルール」を5つピックアップして紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。

目次

Adobe Fontsの取得は顧客側で行う

Adobe FontsはGoogle Fontsと同じく、使用頻度の高いWebフォントです。

Adobe Fontsには一部無料で使用できるフォントもありますが、Adobe CC (Adobe Creative Cloud)のサブスクリプションに加入することで、有料フォントを含む全てのフォントが使用できます。

Web制作に携わる方であれば、Adobe CCを契約している方がほとんどだと思うので、Adobe Fontsの有料フォントも使用することが出来るでしょう。
ただし、自分のAdobe CCライセンスでAdobe Fontsを取得し、顧客のサイトに使用する行為は規約違反です。

以下はAdobe公式サイトからの引用です。

Web フォントを顧客の web サイトに使用することはできますか?

利用条件では、2019 年 12 月 31 日以降の再販は許可されていません。それ以降にフォントライセンスや web フォントホスティングが中断されないようにするには、クライアントの web サイトは、独自の Creative Cloud サブスクリプションから Adobe Fonts を読み込む必要があります。

サービスの再販の意味と関連する定義の詳細については、完全な利用条件を参照してください。

引用元:Adobe

つまり、Adobe Fontsを使用する案件の場合、実際にWebサイトを運営するクライアントにAdobe CCに加入してもらいクライアント側でWebフォント読み込みタグを発行していただく必要があるのです。

この規約については発注者側も知らないケースがたまにあるので、デザインにAdobe Fontsが使用されている場合は真っ先に確認を行いましょう。

テスト環境にはBasic認証をかける

Web制作では、完成したコードを納品していきなりWeb上に公開することは稀です。
本番での公開前に、テスト(検証)用のサーバーにアップし、クライアントに表示確認をしていただくことがほとんどでしょう。

その際、テスト用のサーバーには、原則Basic認証をかける必要があります。

Basic認証は、Webサイトへのアクセスを制限するために利用される認証方式の一つです。
サイトや特定のページを閲覧するためにユーザー名とパスワードの入力を必須とすることで、アクセスできるユーザーを限定することができます。

Basic認証をかけたサイトの表示例

テスト用サーバーにBasic認証をかける理由は主に以下の2つです。

  • 公開前の情報を一般ユーザーが閲覧できなくする
  • 検索結果に表示されないようにする

公開前の情報を一般ユーザーが閲覧できなくする

完成前のサイトが見られてしまうのは、クライアントにとって望ましい状況ではありません。

クライアントによっては「○月○日に情報を一斉公開する」など、情報公開日を決めている場合があり、テストサーバーに誰でもアクセス出来る状況だと、公開前の情報が一般ユーザーに漏れてしまう危険もあります。

Basic認証を設定することで、ユーザー名とパスワードを知っている特定の方のみアクセスすることが可能になるため、一般ユーザーの閲覧を制限することが出来ます。

検索結果に表示されないようにする

テスト確認用のサイトが検索結果に表示されてしまうと、後から公開した本番サイトが「重複したサイト」と見なされ、検索順位が下がるなどの悪影響を与える恐れがあります。

Basic認証を設定することで、検索エンジンのクロールをブロックし、検索結果に表示させないようにすることが可能です。

SNSアイコンの利用にはガイドラインが存在する

各SNSへのリンクとして、アイコンを設置しているようなHPデザインは非常に多いと思います。
こういった外部サービスのアイコンやロゴを使用する際には、必ず公式サイトで使用に関するガイドライン(利用規約)を確認しましょう。

例えば、多くのSNSアイコンの使用で共通しているルールとして、以下のようなものがあります。

  • 公式が配布している素材を改変してはいけない
  • Web表示時の最小サイズの規定を守る
  • アイコンの周囲の要素と適切なスペースを設ける

その他、サービスによって独自の禁止事項が定められています。
Webサイトのデザインで他サービスのアイコンが使用されている場合は、必ずご自身の目で公式のガイドラインを確認してください。

制作会社が作成したデザインだからといって安心はできません。
もしもガイドラインを守れていない場合には、はっきり伝えることもコーダーの責任です。

以下、Web制作でよく使用するSNSアイコンの、ガイドラインへのリンクをまとめています。
ブックマークなどして、いつでもすぐに確認できるようにしておきましょう。

WordPressテーマによって利用規約が異なる

Webサイト制作の仕事の中には、既存のWordPressテーマを使用してサイトを構築する案件もあるでしょう。

基本的にWordPressのテーマは、購入した本人が自身のサイトで使用することを前提にしています。
そのため、購入したテーマを「第三者のサイト」の制作のために利用できるかどうかは、そのテーマによって規約が異なっています。

例えば、TCDテーマの場合、「TCDテーマを使用して第三者のためのサイト制作を有償で請け負う」ためには、30,000円程度するTCD特別ライセンスを購入する必要があります。

第三者のサイトへの使用以外にも、

  • 1つのライセンスで複数のサイトに使用できるか
  • どのジャンルのサイトにも使用できるか

などについても、テーマごとに規約が異なります。

既存テーマを使用したサイト制作を請け負う場合は、必ず使用するテーマの利用規約を事前に確認しましょう。

クラウドソーシングの顧客と外部でやり取りは原則NG

クラウドワークスやココナラなど、クラウドソーシングを利用して案件を受注している(または受注を目指している)方は非常に多いと思います。

ここで注意したいのが、クラウドソーシングで知り合ったクライアントと、そのクラウドソーシング以外でやり取りすることは原則として禁止されている行為であることです。

クラウドソーシングを運営している会社は、発注者から受注者に支払われる報酬の一部を手数料としていただくことで利益を得ています。この手数料は、発注者と受注者のマッチングを手助けしてくれたことに対する対価なので、当然支払うべきものです。

間違っても、手数料を取られないためにクラウドソーシング以外でやり取りすることはやめましょう。
場合によっては違約金が発生することもある明確な禁止行為です。

※サービスによっては、申請を行うことでサービス外でのやり取りが許可されるケースもありますが、金銭の授受は必ずサービス内で行う必要があります。

ご自身が使用しているクラウドソーシングの外部連絡(直接連絡)に対する規約は、ご自身の目でも一度確認しておくことを推奨します。

まとめ

駆け出し・初心者コーダーの方が見落としがちな、「Web制作する上で知らないでは済まされないルール」を5つ紹介しました。

今回の内容のまとめです。

  • Adobe Fontsの取得は顧客側で行う
  • テスト環境にはBasic認証をかける
  • SNSアイコンの利用にはガイドラインが存在する
  • WordPressテーマによって利用規約が異なる
  • クラウドソーシングの顧客と外部でやり取りは原則NG

もちろん、この記事で紹介した内容を守れていれば全てが安心というわけではありません。
外部のサービスを利用する際などは、必ず公式サイトで利用規約を確認することを徹底するようにしましょう。

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